近年増加傾向にある「無痛分娩」、「自然分娩」との違いやメリット・デメリットについて解説



全てのお産の数に占める無痛分娩の割合は年々増えており、無痛分娩はお産方法の一つとして定着してきました。


しかし、無痛分娩は麻酔を使用するため不安に思われる方も多く、「無痛分娩」と「自然分娩」、どちらを選んだらよいか悩まれている方もいるかもしれません。


この記事では、無痛分娩の方法やメリット・デメリットを紹介し、自然分娩との違いも解説します。


◎無痛分娩とは


無痛分娩とは、麻酔を使ってお産の痛みを軽減する方法です。お産の時には、子宮が赤ちゃんを押し出そうと収縮する痛みや、赤ちゃんの通る道である子宮の出口が引き伸ばされる痛みが生じます。この痛みを陣痛と呼んでいます。


無痛分娩では、主に背中から細い管を入れる硬膜外麻酔と呼ばれる方法で麻酔を行い、陣痛を和らげます。痛みが全くなくなるということはありませんが、自然分娩の痛みに比べると、本格的な痛みを感じることなくお産を進めることができます。


◎無痛分娩と自然分娩の違い


ここでは無痛分娩と自然分娩の違いについて解説します。


  • お産にかかる時間
  • お産の準備

それぞれ詳しく見ていきましょう。


[お産にかかる時間]

無痛分娩は自然分娩に比べてお産にかかる時間が長くなると言われています。


自然分娩の場合、お産にかかる時間は、初産婦さんで約12時間、経産婦さんで約6時間と言われています(※1)。無痛分娩の場合は、麻酔によって陣痛を感じにくくなるため、いきみをかけるタイミングが分かりづらく、お産にかかる時間が長くなる場合があります。


(※1)中外医学社「産科麻酔の疑問


[お産の準備]

無痛分娩の場合は、自然分娩の準備にプラスして無痛分娩のための準備を行う必要があります。


まず、無痛分娩を希望する場合は、無痛分娩の予約が必要です。無痛分娩の予約枠には限りがありますので、希望する場合は早めに相談することをおすすめします。


無痛分娩では、あらかじめお産する日を決めて計画分娩をすることが多いです。


無痛分娩の日は、血圧計、分娩監視装置などを装着して準備を行います。場合によっては、前日に入院して、子宮口を広げる処置を行うこともあります。


◎無痛分娩のメリット・デメリット


ここでは無痛分娩のメリットとデメリットを紹介します。


メリット

デメリット

・ 痛みを和らげる

・ 体力の消耗を抑える

・ コミュニケーションが取りやすい

・ お産にかかる時間が長くなる

・ 麻酔の副作用がある



それぞれ詳しく見ていきましょう。


[無痛分娩のメリット]

  • 痛みを和らげる

無痛分娩の最大のメリットは痛みを和らげることです。痛みの感じ方には個人差があり、陣痛も感じ方は人によって異なります。パニック症候群などの病気を患っている方や、過去の出産体験がトラウマになっている方は、無痛分娩により痛みが緩和されることで安心してお産に臨むことができるでしょう。


  • 体力の消耗を抑える

痛みが緩和されることで身体に力が入りすぎることがなく、体力の消耗を抑えることができます。お産は「フルマラソンを完走するくらいの体力が必要」と例えられることもありますが、体力を消耗しすぎると産後の回復に時間を要し、その後の授乳や育児にも影響を与えます。体力の消耗を抑えられることで、産後の身体の回復がスムーズに行え、授乳や育児に取り組みやすくなることは大きなメリットです。


  • コミュニケーションが取りやすい

無痛分娩では部分麻酔にすることが多いため、意識はしっかりとしたままお産を行えます。赤ちゃんが生まれるタイミングや、生まれてすぐの様子をしっかり確認でき、医療スタッフや立ち会いをしている家族ともコミュニケーションが取れるため、安心して過ごすことができます。


[無痛分娩のデメリット]

  • お産にかかる時間が長くなることがある

無痛分娩のデメリットとして、お産にかかる時間が長くなることがあります。痛みが緩和されることにより、いきむタイミングがわかりにくくなったり、いきむ力が弱くなったりするためです。お産にかかる時間が長くなりすぎると、赤ちゃんもお母さんも体力を消耗するので、「鉗子分娩」や「吸引分娩」を行い、お産をお手伝いすることもあります。帝王切開術になる可能性は自然分娩の場合と変わらないと言われています。


  • 麻酔の副作用がある

麻酔を使うため、副作用が生じることもあります。最も多いのは皮膚のかゆみで、その他にも吐き気や嘔吐、発熱、低血圧、頭痛などがあり注意が必要です。処置を行うことで症状は解消することが多いですが、不快感や疲労感が残ることもあります。足の感覚が鈍くなることや、排尿障害が起こることもあります。


【安心で安全なお産を】


ここでは無痛分娩のメリットとデメリットを紹介しました。

お産は自然の営みでもあります。お母さんには「産む力」があり、赤ちゃんには「生まれる力」があります。陣痛は呼吸法でも和らげることができ、マッサージやアロマなどのリラックス法でお産を進めることも可能です。


無痛分娩、自然分娩にはそれぞれの良さがあります。当院では、無痛分娩でも自然分娩でも、ご自身のご希望に沿った方法で、安全で安心なお産ができるようにサポートいたします。


ぜひ、お産についての理解を深め、赤ちゃんとの出会いを楽しみにできるよう準備をしていきましょう。


松下産婦人科医院
医師
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