生理の悩みに処方される「ピル」 種類や違いについて紹介



女性ホルモンを配合した薬のことを一般的にはピルと呼びます。中でも、「経口避妊薬」などとして知られている低容量ピルのことをピルと呼ぶことが多いです。ます。近年では、月経困難症や月経前症候群(PMS)など生理にまつわる不調の緩和や、子宮内膜症などの治療、月経移動や不妊治療にも使用されています。


年々開発も進んでおり、後発品もあることから種類が多く、どの薬が合うのか迷われる場合も多いです。


今回はピルの種類や違い、それぞれの効果や服用方法などをまとめています。


◎ピルの種類と違い


ここでは、中用量ピル・低用量ピル・超低用量ピルの種類について解説します。

ピルには2種類の女性ホルモンが含まれています。一つは卵胞ホルモンのエストロゲン、もう一つは黄体ホルモンのプロゲステロンです。

エストロゲンの配合量によって中用量ピル、低用量ピル、超低用量ピルに分けられます。


[中用量ピル]


不正出血や無月経、不妊治療、月経移動等に使われます。


[低用量、超低用量ピル]


エストロゲンの量が比較的少ないピルで種類も多く、一般的にピルと言えばこの低用量ピル、超低用量ピルを指すことが多いです。避妊を目的として開発されましたが、現在では、子宮内膜症や月経困難症に使用されています。その他にも月経にまつわるさまざまなトラブルの治療や緩和にも使用されています。


◎月経困難症、子宮内膜症に使用されるピル(保険対応)


ルナベルLD配合錠、(フリウェルLD配合錠)、ルナベルULD配合錠(フリウェルULD配合錠)、ヤーズ配合錠、(ドロエチ配合錠)、ヤーズフレックス、ジェミーナ配合錠など


ひどい偏頭痛や年齢、他の病気などがあり、低用量、超低用量ピルを使えない場合にはエストロゲンが配合されていない黄体ホルモン単独の治療薬が使用されます。


[月経困難症、子宮内膜症に使用される、エストロゲンが配合されていない黄体ホルモン単独の治療薬]


ディナゲスト、(ジエノゲスト)等


◎避妊用に使用されるピル(自費処方)


アンジュ(ラベルフィーユ)、トリキュラー、(ファボワール)、マーベロン等


◎効果と服用方法


代表的な薬のそれぞれの効果と服用方法をまとめています。


  • ルナベルLD/ULD
  • トリキュラー21/28
  • マーベロン21/28
  • ヤーズ
  • ヤーズフレックス

それぞれ詳しく見ていきましょう。


[ルナベルLD/ULD]

種類

ルナベルLD:低用量ピル・1相性・第1世代

ルナベルULD:超低用量ピル・1相性・第1世代

効果

月経困難症

服用方法

1日1錠を毎日一定の時刻に21日間服用し、その後7日間は休薬。28日間を1周期とし、出血の有無に関わらず29日目から新しいシートの薬を服用。


[トリキュラー21/28]

種類

低用量ピル・3相性・第2世代

効果

避妊

服用方法

トリキュラー21:1日1錠を毎日一定の時刻に定められた順に従って21日間服用し、その後7日間は休薬。28日間を1周期とし、出血の有無に関わらず29日目から次の周期の薬を服用。

トリキュラー28:1日1錠を毎日一定の時刻に定められた順に従って28日間服用。28日間を1周期とし、出血の有無に関わらず29日目から次の周期の薬を服用。


[マーベロン21/28]

種類

低用量ピル・1相性・第3世代

効果

避妊

服用方法

マーベロン21:月経の第1日目から1日1回1錠を毎日一定の時刻に21日間服用。その後7日間休薬。28日間を1周期とし、次の周期の薬を服用。

マーベロン28:月経の第1日目から白色の薬を1日1回1錠ずつ毎日一定の時刻に21日間服用。続けて緑色の薬を1日1回1錠ずつ7日間服用し、合わせて28日間連続して服用。緑色の薬を飲み終わった翌日から、月経の有無に関わらず、白色の薬を服用。


[ヤーズ]

種類

超低用量ピル・1相性・第4世代

効果

月経困難症

服用方法

 1日1錠を一定の時刻に定められた順に従って28日間連続して服用。28日間を1周期とし、出血の有無に関わらず29日目から次の周期の薬を服用。


[ヤーズフレックス]

種類

超低用量ピル・1相性・第4世代

効果

子宮内膜症の痛みの緩和、月経困難症

服用方法

子宮内膜症の痛みの緩和:1日1錠を24日目までは出血の有無に関わらず服用。25日目以降に3日間連続で出血(点状出血を含む)があった場合、または連続服用が120日に達した場合は4日間休薬。休薬後は出血の有無に関わらず連続服用を開始。

月経困難症:以下のいずれかを選択

① 1日1錠を24日目までは出血の有無に関わらず服用。25日目以降に3日間連続で出血(点状出血を含む)があった場合、または連続服用が120日に達した場合は4日間休薬。休薬後は出血の有無に関わらず連続服用を開始。

② 1日1錠を24日間連続して服用し、4日間休薬。28日間を1周期とし、出血の有無に関わらず29日目から次の周期の薬を服用。


【自分に合うピルを見つけましょう】


ピルには多くの種類があり、同じ症状でも合う薬は人によって異なります。今服用しているピルが「合っていないかも」と思われる場合は、医師へ相談されることをお勧めします。


また、ピルを通販や個人輸入などで購入する場合もあるようですが、お薬そのものの安全性や副作用への対処などの課題があるため、お勧めできません。症状や体質に合わせた薬を見つけるためにも、医療機関を受診して医師の処方を受けましょう。


ピルは上手に使えば女性の味方となり、身体にも心にも嬉しい効果が見込めます。悩んでいる方はぜひ、選択肢の一つとして考えてみてください。


松下産婦人科医院
医師
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