毎月の生理痛を「当たり前の痛み」だと我慢していませんか。
生理痛は他の人と比べることが難しく、痛みの感じ方も人によって様々です。出血するため痛くて当然と考えられることもありますが、痛みの程度によっては受診が必要な場合もあります。
今回は生理痛の痛みの程度や受診のタイミングをまとめています。
◎生理痛とは
生理痛の原因は、プロスタグランジンというホルモンが分泌されることに関係しています。
プロスタグランジンは子宮内膜から分泌されるホルモンです。子宮を収縮させることで、不要になった子宮内膜を血液とともに排出させる役割があります。陣痛の際にも分泌され、波打つような痛みを起こします。
プロスタグランジンの分泌量が多いと、必要以上に子宮を収縮させ生理痛が強くなります。プロスタグランジンには血管を収縮させる作用や胃や腸への影響もあるため、腰痛や頭痛、吐き気や下痢、だるさなどの症状が出ることもあります。
また、子宮口が狭いことや運動不足による血行不良、冷え、ストレスなども生理痛の原因となります。子宮内膜症や子宮筋腫といった病気によって生理痛が引き起こされていることもあります。
◎生理痛の痛みの程度
ここでは生理痛の痛みの程度についてまとめています。
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痛みのレベル
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月経困難症スコア
それぞれ詳しく見ていきましょう。
[痛みのレベル]
生理痛で感じる痛みの程度を日常生活への影響と合わせて、低度、中程度、高度と3段階に分けることができます。
低度 |
痛みがない、または痛みがあるが軽い |
いつも通りに過ごすことができ、学校や仕事に行ける |
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痛み止めを使用しない |
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中程度 |
痛みがある |
痛みのために学校や仕事を休むこともある |
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痛み止めを使用する時もある |
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高度 |
痛みがある 立っていられないほど痛みがある |
痛みのために学校や仕事を休まなくてはならない |
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痛み止めを必ず使用する |
[月経困難症スコア]
生理痛の痛みの程度と痛み止めの使用頻度で月経困難症を評価できます。
3点以上で婦人科の受診を勧めていますが、3点未満でも月経困難症と診断されることはありますので、点数はあくまでも目安としてください。
程度 |
スコア |
||
生理痛 |
なし |
仕事・学業・家事に支障なし |
0 |
軽度 |
仕事・学業・家事に若干の支障あり |
1 |
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中等度 |
横になって休憩したくなるほど 仕事・学業・家事に支障をきたす |
2 |
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重度 |
1日以上寝込み、 仕事・学業・家事ができない |
3 |
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痛み止めを 使用した日数 |
なし |
なし |
0 |
軽度 |
月経期間中に1日 |
1 |
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中等度 |
月経期間中に2日 |
2 |
|
重度 |
月経期間中に3日以上 |
3 |
参考:Harada T ,et al:Fertil Steril. 2008;90(5):1583-1588
◎生理痛で受診するのはいつ?
ここでは受診のタイミングについて解説します。
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生理痛で悩む場合は受診
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受診は生理中でも構いません
それぞれ見ていきましょう。
[生理痛で悩む場合は受診]
生理痛がつらい、痛み止めを使用しているなど生理痛で悩んでいる場合は一度受診をお勧めします。生理痛のレベルが「高度」に該当する場合は、日常生活に支障が出ている状態ですので早めに婦人科を受診してください。また、「中程度」の場合でも痛みを和らげることができ、生理期間をより快適に過ごすできる可能性があるので、受診を検討されることをお勧めします。
生理の度に痛みが強くなったり、年々出血量が増える、痛み止めを使用しても痛みが治まらない場合なども一度受診して医師へ相談してみてください。生理痛以外でも、吐き気や下痢、不正出血(生理以外で出血する)などの症状があれば治療が必要なことがありますので、婦人科を受診してください。
[受診は生理中でも構いません]
生理痛で受診する時は、生理中でも問題ありません。生理中にできる検査をご案内いたしますので、生理中でもいいかな?と悩まず、つらいときはご相談くださいね。
また、生理の出血が止まらない場合や、痛み止めの処方が欲しい場合も生理中に受診して問題ありません。出血が続いている場合は貧血が進んでいる可能性もありますので、ふらつきやめまい等の症状に注意して受診してください。
婦人科を受診した際には、生理痛や悩んでいる症状について問診が行われます。生理周期や症状の出るタイミングなどを把握しておきましょう。
婦人科の問診で聞かれることの一例
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最終月経日(直前の生理開始日)はいつか
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生理周期、持続期間
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生理痛がつらいのはいつからか
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腹痛、頭痛、腰痛の有無、どのような痛みか
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既往歴(今までかかったことのある病気)
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服用している薬の有無
【生理期間をより楽に】
生理痛の悩みは思春期に多く見られますが、大人の女性にとっても大きな悩みとなることが多いです。学校や仕事を休んでしまうほどの生理痛は、日常生活に支障が出ている状態と言えますので、一度受診されることをお勧めします。
生理痛はとてもプライベートなことですが、近年は女性が生理痛に悩むことで社会的な損失が生まれることも指摘されています。生理期間を少しでも楽に過ごせるよう、一人で悩まずに相談してみてください。