出産に向けて準備を進める中で、出産費用について不安や疑問を抱かれることもあるでしょう。「出産にどのくらいの費用が掛かるのか」は出産する施設選びやバースプランにも大きく影響します。
この記事では出産に掛かる費用や受けられる補助金、助成金について解説します。
安心して出産を迎えられるように事前にしっかりと準備しておきましょう。
目次
◎出産費用の平均額
ここでは出産費用の平均額について解説します。
- 原則は自己負担
- 出産施設による違い
それぞれ詳しく見ていきましょう。
[原則は全額自己負担]
出産費用は健康保険の適用外のため、原則自己負担となります。健康保険は病気の治療に対して適用されるもので、病気ではない出産は健康保険の適用外となります。厚生労働省の資料によると2022年度の出産費用の全国平均額は正常分娩で約48.2万円です(※1)。
出産費用の内訳は入院料や分娩料、新生児管理保育料、処置、手当料などです。入院日数や使用した部屋の種類によっても金額が異なります。無痛分娩の場合は麻酔を使用するため、自然分娩の費用に加えて10~20万円程度の費用が必要です。
原則は全額自己負担ですが、出産時に帝王切開や吸引分娩などが行われた場合の出産費用は健康保険の適用となります。自己負担割合は3割で、民間の医療保険の保障の対象にもなります。
また、経済的な理由により、医療機関に入院して出産することができず、他からの援助も受けられない場合には、助産制度を検討することになります。自治体が指定する助産施設(医療機関)を利用し、出産に掛かる費用を自治体が援助する制度です。
[出産施設による違い]
出産費用は出産する施設によっても異なります。前述の厚生労働省の資料では公的病院では約46.3万円、私的病院では約50.6万円、診療所(助産所を含む)では約47.9万円とされています(※1)。
また、出産費用は地域によっても差があり、都心部は高く、地方は低い傾向があります。医療機関の土地代や物価、医療従事者の人件費が影響していると言われています。
◎出産時の補助金と助成金
ここでは出産時に受け取れる補助金や助成金について紹介します。
- 出産育児一時金
- 出産手当金
- 出産・子育て応援事業
それぞれ詳しく見ていきましょう。
[出産育児一時金]
出産育児一時金は健康保険等に加入している方が出産した場合に支給されます。支給額は子ども1人につき50万円で、双子の場合は100万円となります。(2023年4月より従来の42万円から50万円に増額されました。)出産育児一時金で、出産費用のほとんどを賄うことができます。
申請が必要で、申請先は以下の通りです。
健康保険の種類 |
申請先 |
勤務先の健康保険 |
勤務先の担当部署、または健康保険の窓口 |
配偶者(公務員や会社員)の扶養 |
配偶者の勤務先、または健康保険や共済組合の窓口 |
国民健康保険 |
市町村の窓口 |
直接支払制度を利用する場合は、医療機関が申請を行い、出産育児一時金が医療機関へ直接支払われます。
[出産手当金]
出産手当金は出産のために会社を休み、その間に給与の支払いを受けなかった場合などに健康保険から支給されます。対象となる期間は、出産した日の42日前~出産の翌日以後56日目までです。勤務先の担当部署か、健康保険の窓口への申請が必要です。
[出産・子育て応援事業]
出産・子育て応援事業は2022年4月以降に出産したすべての人を対象に、子育て関連用品に使用できるクーポン券などを自治体が支給する事業です。妊娠届出時と出生届出時にそれぞれ5万円相当分ずつに分けて支給されます。
◎出産費用の見える化「出産なび」
2024年5月から、全国の出産施設を探せるサイト「出産なび」が開始されました。
全国の分娩を取り扱う施設(病院・診療所・助産所)の特色やサービスについての情報提供を行うウェブサイトで、それぞれの地域にある出産施設を出産費用も含めて調べることができます。
付帯サービスとして、「母子同室」、「個室あり」、「立ち会い出産(経腟分娩の場合)」、「希望による無痛分娩あり」が検索でき、出産後の健診や助産ケアについても調べることが可能です。
初めての出産の場合だけでなく、2回目や3回目の出産の場合でも、前の出産時とは求める条件が変わることも多くあるため、選択肢を増やせるようぜひ活用してみてください。
参考:厚生労働省 あなたにあった出産施設を探せるサイト「出産なび」
【安心して赤ちゃんを迎えられるように】
出産に掛かる費用を事前に準備しておくことは、妊婦さんの安心につながるだけでなく、母体と赤ちゃんの安全を守ることにもつながります。
出産は予想外のタイミングで入院したり、出産方法や入院する施設を変更したりする場合があります。そのような時のためにも、事前に利用できる制度やサポートを知り、しっかり活用できるよう準備しておくことが大切です。