PMS(月経前症候群)とPMDD(月経前不快気分障害)の違い|どんな症状?【セルフチェック付き】


月経前になると何だか落ち着かない、気分が落ち込む、イライラする…。そんな症状のある方はPMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)かもしれません。


今回は月経前に不調が訪れるPMSやPMDDについてまとめています。

後半にはセルフチェックもありますので、ぜひご自身でチェックしてみてください。


◎PMSとPMDDは何が違う?


ここではPMSとPMDDについて解説します。


  • PMSとは

  • PMDDとは


それぞれ詳しく見ていきましょう。


[PMSとは]

PMS(月経前症候群)は月経前に現れる、身体的・精神的な不調です。原因はまだはっきりとはわかっていませんが、月経が始まると症状が軽減したり治まったりするため、排卵から月経までの女性ホルモンの変化が関係しているのではないかと考えられています。


初経を迎える10代から、閉経を迎える50歳前後までの様々な年代の女性が発症しています。

PMSの症状は身体的な症状も精神的な症状もあり、人によって違いがあります。月によって症状が異なることもあります。


代表的な症状は以下の通りです。


身体的症状

腹痛、頭痛、腰痛、むくみ、下腹部の張り、乳房の張り

精神的症状

情緒不安定、イライラ、抑うつ、不安、眠気、集中力の低下、睡眠障害

自律神経症状

のぼせ、めまい、倦怠感、食欲不振、過食

その他の症状

肌荒れ、ニキビ、肩こり、吐き気、下痢、便秘


ストレスやアルコール、喫煙やカフェインの摂取はPMSを悪化させる可能性があると言われています。


症状の改善には適度な運動やバランスの良い食事、生活習慣の改善なども有効とされています。


[PMDDとは]

PMDD(月経前不快気分障害)はPMSの一種で、月経前に精神的な不調がより強く現れる状態です。


抑うつ気分、不安・緊張、情緒不安定、怒り・イライラの4症状が中心的な症状で、月経前にのみに強く現れ、月経が始まると症状は軽くなるか、ほとんどなくなるという特徴があります。


日常生活や人間関係に大きな支障を来たすことが多く、1994年に新しく病名が定められた比較的新しい概念です。


原因はPMSと同様にはっきりとはわかっていませんが、月経前の女性ホルモンの変化が影響していると考えられています。


また、環境的な要因もあり、ストレスや対人関係、季節の変化やライフイベントなども症状に影響していると言われています。


月経のある女性のうちおよそ2~6%の人が発症しており、20~30代の女性に多いとされています。


主な症状は以下の通りです。


  • イライラしたり、怒りっぽくなったりする

  • 気分の落ち込みや絶望感、自己嫌悪

  • 不安感や緊張感がある

  • 趣味などへの興味が薄れる

  • 集中することが難しい

  • 疲れやすい、倦怠感がある

  • 過食、同じものばかりを食べる

  • 過眠または不眠

  • 乳房の張りや痛み、頭痛、関節痛や筋肉痛、体重増加など


◎PMSとPMDDの治療


ここではPMSとPMDDの治療について解説します。


[PMSの治療]

PMSの症状で悩む場合は、まずは婦人科に受診しましょう。


婦人科では症状の聞き取りを行い、カウンセリングや生活習慣の改善、運動療法などを試み、必要に応じて薬を使用した治療を行います。


薬物療法では、ホルモン療法や漢方薬、痛み止めの処方などが行われます。年齢やライフスタイルによって合う治療方法は異なりますので、どんな症状に困っているかや一番改善したいことは何かなどを、主治医とよく相談して決<めましょう。


[PMDDの治療]

PMDDの症状で受診される際は、婦人科または心療内科や精神科を受診してください。


PMDDには精神的な症状に対して、ホルモン療法や抗うつ剤での治療、漢方薬での治療が行われますが、婦人科ではホルモン療法を行うことが多いです。


精神的な症状が主症状であるため、より専門的な治療が必要な場合は心療内科や精神科での治療をおすすめします。


◎セルフチェックをしてみましょう


ここではPMDDのセルフチェックについてまとめています。


  1. 情緒が不安定になる

  2. イライラしたり、怒りっぽくなったりする

  3. 抑うつ気分や絶望感、強い気分の落ち込みがある

  4. 強い不安や緊張感がある

  5. 仕事や学校、友人関係や趣味などへの興味が薄れる

  6. 集中することが難しい

  7. 疲れやすく、倦怠感がある

  8. 食べ過ぎる、または特定の食べ物を食べたくなる

  9. 過眠や不眠がある

  10. 圧倒される、自分をコントロールできない感じがある

  11. 月経前に乳房の張りや痛み、頭痛、関節痛や筋肉痛、むくみ、体重増加などの身体症状がある


1~4のうち1つ以上の症状があり、1~11のうち5つ以上の症状がある場合、PMDDと診断される可能性があります。


診断には日常生活に支障が出ていることや、これらの症状が他の病気(うつ病やパニック障害など)の増悪でないことも確認します。


また、該当する項目が少なくても、日常生活に大きな支障が出ている場合はPMDDと診断された場合と同じように治療が行われることもあります。


【一人で悩まずにまずは相談を】


女性ホルモンの影響を受け、多くの女性が月経前に身体的にも精神的にも不快な症状を抱えています。不安やイライラ、情緒の不安定さが日常生活に支障を来たしている場合は、「月経前だから仕方ない」と諦めずに、一度受診をしてみてくださいね。


松下産婦人科医院
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