更年期障害の症状とは?いつから始まる?


肩こりがひどい、いつも疲れている、イライラする、眠れない…など、身体の不調を感じることはありませんか。


今回は更年期障害の症状について解説していきます。症状は多様で個人差も大きく、女性を悩ます大きな課題です。


まずは症状を知り、早めに対処できるようにしましょう。


◎更年期障害とは


ここでは更年期障害についてまとめています。


  • 更年期と更年期障害

  • 無理せず受診を


それぞれ詳しく見ていきましょう。


[更年期と更年期障害]

更年期とは、閉経前の5年間と閉経後の5年間を合わせた約10年間を指します。


更年期には卵巣の機能が低下することで女性ホルモンの分泌が減少し、「肩こり」や「疲労感」などの更年期症状と呼ばれる様々な症状が現れます。


症状の程度にも個人差があり、女性ホルモンの減少だけでなく、もともとの性格や体質、仕事や家庭などの環境も大きな要因となると言われています。


更年期症状が日常生活に支障を来たしている場合は「更年期障害」とされ、受診や治療が必要な状態です。


治療は、ホルモン補充療法や漢方薬での治療が行われることが多く、精神的な症状が強い場合は、カウンセリングなどの精神的な治療が行われることもあります。


[無理せず受診を]

更年期障害に悩まされるのは40~50代の女性です。


家庭では子どもの反抗期や親の介護に直面し、社会的には責任のある立場や貴重な人材として頼られることも多い世代です。


身体の不調を感じたら、今の自分が「頑張りすぎていないか」を意識してみましょう。


精神的なストレスを過度に抱えることで、更年期症状が強くなることもあります。更年期症状は不定愁訴とも呼ばれるほど、症状が様々でわかりにくいものです。


明らかな症状ではなくても、不調が続く場合は無理をせずに受診しましょう。


◎更年期障害の症状


ここでは主な更年期障害の症状についてまとめています。


  • ホットフラッシュ

  • 冷え

  • 肩こり、腰痛

  • 疲労感

  • イライラ


それぞれ見ていきましょう。


[ホットフラッシュ]

ホットフラッシュは更年期障害の代表的な症状とされ、血管運動神経症状と呼ばれています。


急に上半身ののぼせや顔のほてり、発汗などが起こり、数分~数十分程度続きます。個人差はありますが、1日に何度も起こることもあります。


高血圧や甲状腺の病気が原因で起こることもありますので、一度受診することをおすすめします。


[冷え]

ホットフラッシュとともに「冷え」も更年期の代表的な症状です。ホットフラッシュで上半身はのぼせますが、下半身は冷えているという状態です。女性ホルモンの低下や自律神経の乱れと、筋力の低下も関係していると言われています。


身体を冷やさないよう、服装や食べ物を工夫したり、ストレッチを取り入れたりすることが有効です。漢方薬が処方されることもありますので、症状が辛い時は受診してみましょう。


[肩こり、腰痛]

自律神経の乱れによる血行不良や、肩や腰の筋力低下によって肩こりや腰痛の症状が強く現れます。


肩だけでなく首から背中、腰にかけての広い範囲で筋肉が固まっている感じや張っている感じを自覚することもあります。


自律神経が乱れることで、痛みに敏感になるとも考えられており、より痛みを感じやすくなることもあります。


[疲労感]

疲労感は更年期に多く訴えられる症状です。


自律神経の乱れによる血行不良から、体温の低下や睡眠の質の低下などが引き起こされ、疲労感につながっていると考えられています。


十分な休息を取っても疲れが取れないことが多く、倦怠感が長く続くこともあります。貧血や抑うつ状態など他の病気の可能性も考えられるため、受診を検討してください。


[イライラ]

「以前は気にならなかったことにもイライラしてしまう」、「怒りっぽくなった」なども更年期の症状の一つです。


原因は、女性ホルモンの分泌が減少することで「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンが不足し、感情のコントロールが難しくなるためです。


家庭や仕事などでのストレスも要因の一つとなります。ストレスを避けることやリラックスすることを心掛けることで症状が緩和されることもありますが、治療することもできますので早めに対処するようにしましょう。


更年期の症状は他にも、不眠、めまい、皮膚の痒み、手足のしびれ、吐き気など多岐にわたります。


【周囲の理解も大切】


更年期の症状は多様なため自覚が難しいこともありますが、月経の変化や体調の変化によって、少しずつ更年期を実感する方が多いようです。


「疲れやすさ」や「肩こり」、「腰痛」は慢性的に悩む場合も多く、受診につながりにくいことがありますが、日常生活に支障が出ている場合はためらわずに受診しましょう。


また、更年期障害については、症状に悩む女性だけでなく、家族や職場の方が不調を知ることもとても重要です。


必要な治療が受けられるよう、周囲の理解やサポートがあると更年期は乗り越えやすくなります。


松下産婦人科医院
医師
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